こんにちは、たそがれ整形外科医です。
運動しないことが皆様の体のこりや痛み、疲労感につながります。
今回は、体の痛み注)の原因と解消方法に関して、実臨床の経験をもとにお話します。
注)ここでの体の痛みは診断名がつかなかった筋肉や関節の痛みを指します。
・1・体の痛みの原因
体の痛みの種類は、打撲などの痛みである「侵害受容性疼痛」、神経の損傷による「神経障害性疼痛」、精神的に脳自体が痛みを感じている「心因性疼痛」、の3つがあります。運動と関連するものは、1つ目の「侵害受容性疼痛」になります。
実臨床で体の痛みのある患者さんを診察する際に痛みがある体の部分に対してCT検査やMRI検査など精密検査を行っても病気が見つからないことが多くあります。特に慢性的な腰痛や肩痛の患者さんに多い傾向にあります。そういった患者さんは精神的に疲れていることもありますが、『この筋肉が痛い』とピンポイントで指し示してくださる患者さんもおられます。指し示してくださる患者さんは痛い部位の周囲の筋肉や関節が硬いことが多いです。硬い筋肉や体が、血流を悪くし、弾力性を失い、痛みの原因となります。
・2・整形外科を痛みで受診する患者さん
整形外科を受診する患者さんの多くが、首、腰、肩の痛みを主訴に来院されます。精密検査を行い、診断に至るケースもありますが、多くの場合は『体の摩耗で仕方ないね』と鎮痛薬と湿布を処方され帰宅していきます。これは果たして治療しているのか、日々の診療で疑問に思っています。もちろん、体が摩耗し切った御高齢の患者さんもおられますが、中高年の患者さんもおられ、非常に体が硬い方が多い印象です。そのような患者さんには鎮痛薬処方で終わらせるのではなく、どの部位が硬く、どのような運動を行うと軟らかくなり、体の摩耗が防げるかを教えるのが治療ではないかと、思っています。
・3・痛みを解消する意識改革と運動習慣
体が硬く、体に痛みを伴う患者さんに運動習慣を持っていただくにどうしたらよいのか答えはありません。しかし、日々の診療で患者さんを2つに分けることができると感じています。体が硬くなり、体が痛いことに対して、自分でどうにかしようとしている自責を持った患者と、痛いことは何らかの病気が原因で自分に要因がないと考える他責思考の患者の2群に。
前者は適切な運動を指導できれば、緩徐ではありますが改善を実感いただき、運動を習慣化していただけている印象です。しかし、後者は接骨院やマッサージなど他人にどうにかしてもらい、自分では何も運動などは行わない印象です。
もちろん、患者さん自身の人生ですから良い悪いの話をするつもりはありません。整形外科医の治療介入として、他責思考の患者さんの運動への意識改革を促し、運動を習慣化させ、多くの患者が体が摩耗することなく、健康な生活を送れるようにすることも大切です。
・4・まとめ
運動習慣がないと筋肉が硬くなり、体の痛みの原因となる可能性があります。自分に矢印を向けて、体が硬いこと、体が痛いことに対して自責の意識で、少しずつ運動を習慣化していくことが痛みの改善および健康寿命の延長につながります。
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